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2015
今年も行ってきました、GMOペパボの株主総会。
もう1ヶ月以上も前になってしまいましたが、3月21日(土)にGMOペパボが属するGMOグループが入っている渋谷のセルリアンタワー、地下2階の大部屋で開催されました。昨年はGMOグループの食堂が会場で、高層階からの眺めがよかったので少し残念。
今年でペパボの株主総会に参加するのは4回目ですが、サラリーマン投資家でも毎年参加できているのは祝日開催にしてくれているおかげですね。ありがたいことです。しかもあまり意識していなかったんですが、単に土日祝日というだけでなく、春分の日と決めているようです。
参加者はあとで聞いたところによると約120人。心なしか昨年までよりも若い人や女性が増えていたようでした。
今回の注目は何といっても2月にテレビCMを始めたハンドメイドのオンラインマーケットサービス・minne(ミンネ)。株主総会開始前の会場内スクリーンでもそのCMが流されていました。
minne(ミンネ) ハンドメイドマーケット 手作り作品の通販
総会が始まり、事業概況の報告では昨年までと異なり、前面の大スクリーンに映しだされるスライドとナレーションで昨年度の概況が説明されました。この方が聞く側としてもわかりやすいし、議長である佐藤健太郎社長も喉を涸らさないで済むのでいいかもですね(コストはかかってしまうけど・・・)。
質疑応答では直近のCMで話題を集めていたminneに関する事を中心に9人の質問がありました。そのうちのいくつかを紹介します。
Q1. 3本の事業の柱(ホスティング事業、EC支援事業、コミュニティ事業)について、5年先に向けてどう考えているか
A1. 昨年の株主総会後、新しい役員とビジョンについて話し合った。2次曲線の成長を作れる事業として、CtoCのminneに注力していきたい。売上・利益の規模を伸ばすことで時価総額もついてくる。
Q2. Yahoo!ショッピングが出店料を無料化したことによる影響は
A2. 結果として影響はなかった。Yahoo!ショッピングは無料だが従量課金制になっている。全国各地でカラーミーショップのセミナーを行ってユーザーの集客力向上を支援している。
Q3. 株価が最近上がっているが、若い人がもっと株主になってもらえるよう、最低投資単価を下げて流動性を高め、ゆくゆくは東証一部市場へ行ってもらいたい
A3. メディアによる注目が最近集まっていることを業績につなげたい。流動性を高めるための株式分割はタイミングを図って最も効果が見込めると判断したときに実施したい。
Q4. GMOグループ内企業の親子上場が複数あるが、親子上場についての戦略的考えをきかせていただきたい
A4. (熊谷会長) 30年前に事業を立ち上げる際、三井や三菱などのように、グループ内で様々な企業が上場している日本の大企業グループのあり方を参考にした。今後も力のある子会社は上場を継続していく考えである。
Q5. 今年度のminneへの投資について、収益の上がり方を見て利益を調整するのか、はじめに計画を立てていてそのとおりに実行していくか
A5. 利益0予想というのは、年間で計画を立てている。開示した予想に着地するようにしたい。
Q6. GMOインターネットやGMOクラウドなど、親子・グループ間で類似の事業(ホスティング)を行っているが、住み分けはどのようになっているのか
A6. GMOインターネットが提供するConohaが開発者、企業向けであるのに対して、ロリポップは100円〜1500円の手頃な価格帯で個人に広く使ってもらえるサービスを提供している。Webでの集客オンリーで、それ以外の広告は行っていない。
僕の聴きとった限りでのメモなので、誤解があるかもしれません、あしからず。
株主総会後は滞りなく終了し、しばしの休憩のあと、同じ会場で近況報告会が開かれました。2014年のトピックスの紹介や株主総会のときよりもくだけた感じのケンタロウ社長をはじめ、星さんや五十島さんなど、役員の人たちの紹介がありました。
今後の展開としては主に2つ。
有料契約件数の増加とそれによる顧客単価のアップ
minneへの積極的投資
minneの属するハンドメイドマーケットの分野では、2005年から事業を展開しているEtsy(エッツィ)が世界最大のオンラインサービスで、売上高は2000億円を超えている(数字はちょっとうろ覚え)。
またフリマアプリのメルカリは2013年の7月にサービスを開始して以来、アプリダウンロード数が1100万を超えているとのこと。
国内のハンドメイドオンラインマーケット主要4サービス合計で出品数は248万点(2015/01時点)となっていて、市場は盛り上がりを見せている。
その中で、minneはすでに作家数10万人、出品数100万点を突破し、競合に圧倒的な差をつけている。
テレビCMを今年の2月14日から放映開始し、放映直後のアプリランキングではApp Storeで無料総合2位、カテゴリ内1位を記録(2/21時点)。Google Playでは無料総合3位を記録(2/19時点)。
2015年の目標としては、作家数20万人、作品数200万点、アプリダウンロード数500万を狙っているとのことでした。
アプリのダウンロード数500万はかなりハードルが高いのでは?と内心思っていた人は(自分も含めて)多いのではないかと思いますが、ケンタロウ社長の口ぶりではかなり自信があるようでした。
近況報告会でもけっこう質問が出ましたが、その中で社内の女性人材登用に関する質問がありました。
現在、ペパボでは社員の4割が女性であるのに対して、リーダークラスではまだ数名しかいないとのこと。
minne事業では現在40名が携わっているが、カスタマーサービスでは男性1名をのぞいてすべて女性。
同デザイン部門はすべて女性が担当。
アプリ開発については、1名のみ女性であるとのことでした(全部で何人なのかはわからなかった)。
ペパボ全社では、子育て支援については他社に先がけて手厚くしている。
役員や部門リーダーへの登用は、いずれポストに適材な人員が出たときに検討するというような話でした。
ここまで書き連ねてきましたが、このタイミングでペパボがあえて通期での利益ゼロ予想を立ててきたことは素直に評価したいです。
昨年か一昨年のペパボ株主総会エントリで書いたかも知れませんが、「あれこれ試して、うまくいったものを残す」というビジネス書の名著「ビジョナリー・カンパニー」の中の名言があります。 ペパボはこれまで個人向けのレンタルサーバーに始まり、ショッピングカートなどのEC支援、SNSと事業ドメインを広げてきました。けれど、こういっては何ですが、ここ何年かの新規事業はどれも「そこそこ」だったと思うんですよね。サービスリリース直後は注目を集めるけれど、その後の盛り上がりに欠けると。
収益的に見ても、ロリポップとカラーミーショップ以外は利益は出ていても比率は高くありません。ブクログは読書系SNSでユーザー数国内トップですが、収益的にはどうでしょう?。
今回のペパボの戦略は、短期的な利益を犠牲にしても、ミンネが潜在的な市場規模の拡大が見込めるハンドメイドオンラインマーケットという分野でトップのシェアをとった機会を捉えて、佐藤社長のいうところの指数関数的な成長を目指そうというものでしょう。
かつて、Amazonが上場してからも何年間も赤字を垂れ流していたのも、CEOのジェフ・ベゾス氏の明確な戦略があったようです。そこまで極端な戦略は取れないにしても、今のペパボの財務体質であれば1年、2年分の利益をまるまるつぎ込んで攻めるというチャレンジは大いにアリだと思います。
ハンドメイドのオンラインマーケットがどこまで広がりを見せるのか。米国の先行者であるEtsy(エッツィ)は日本でどこまで成長するのかなど、僕にはさっぱり読めませんが、株主総会の会場に展示されていたminneの作家さんたちの作品を見ていると、こういうぬくもりのある作品が取引されるマーケットは純粋に応援したい気持ちにもなりました。
株主総会後、さっそく会場で気になった作家さんのiPhoneカバーを購入。気に入っています。
株主総会後にペパボ役員の方々やかちおさん(@katio_boy)と一緒に写真を撮ってもらいました。
総会のお土産にいただいた、九州銘菓の「ざびえる」とminneの作家さんの作品の紙袋&桜のバターナイフ。