12 / 4
2021
11月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3179
ナイス数:1571
11月は12冊読んだ。10月よりペースが落ちてしまったが、10月は軽めの本が多かったこともあるし、誤差の範囲だろう。
先月読んだ本は面白いものが多かったが、特に挙げたいのは村田沙耶香「地球星人(新潮文庫)」。
芥川賞受賞作の「コンビニ人間」でもコンビニで働き恋愛や結婚に興味がない社会不適合気味の女性を風刺的に描いた著者だが、本書はさらにスケールが大きく、結婚して子を産み育てる人間社会を「生産工場」「人間の巣」と地球の外から宇宙人の目線で突き放して描写している。
登場する主人公の女性は「コンビニ人間」ほど機械的ではないが、家族からも冷たい仕打ちを受け、恋愛とか結婚というものに価値を見いだせないまま大人になっている。また家族からの追及を避けるために、同じように結婚や生殖というものに忌避感を抱いている男性と偽装結婚をしているが、いつまでも子を作らない二人に周りは不信感を抱き…。
主人公と同じように人間社会に違和感を抱きつつも馴染もうとしていた従兄弟と久しぶりに再会してからの展開は想定を超えていた。
どういう結末になるかはぜひ読んでみてほしい。
ミニマリスト式超運動術: 楽しく歩くことだけ考えればいいの感想
なにおれさんの「ミニマリスト式」シリーズ。運動しなきゃ…でも時間がない、と思っている人に向けて、ただ歩くだけでもいいんだよ、そして頑張るのではなくただ歩くことを楽しもうというすすめ。自分もなるべく歩きたいなと思いつつ、コロナ禍での外出自粛もあったりであまり歩けていない。ただ、職場までバス通勤だが徒歩でも1時間弱なので、何度か歩いてみたことはある。真夏はさすがにキツいけれど、今からの季節は徒歩で通勤してみようかなと思う。
読了日:11月02日 著者:なにおれ
倒壊する巨塔〈下〉―アルカイダと「9・11」への道の感想
下巻もようやく読了。上巻から通算してずいぶんかかった…。下巻の内容は、どちらかといえば米国でビンラディンやアルカイダに目をつけていたFBIのジョン・オニール達の描写が多かったかな。CIAはテロリスト達の情報を早くにつかんでいたのに、機関同士の確執のせいで情報が共有されず、結果として甚大な被害を招いてしまったのが悔やまれる。
読了日:11月03日 著者:ローレンス ライト
男脳 女脳 人生がときめく脳に効く言葉 (カリスマの言葉シリーズ)の感想
知り合いからの借り本。男女の脳の違いというのはよく耳にする話だけれど、"「他人の不幸は蜜の味」。この蜜の味は男の方が好き"、というのにはドキッとした。女性は不安になりやすいものであるということは覚えておきます。
読了日:11月03日 著者:中野 信子
一汁一菜でよいという提案 (新潮文庫)の感想
単行本から通算すると4回目の読了。この文庫版が出る数日前に単行本を読んでいたので、その偶然に驚いた。読む度にじわじわと土井善晴さんが本書に込めた思いが染み込んでくるような気がする。一汁一菜を基本とした日々の食事という基本概念を、この本を初めて読んだときから心の片隅においては行きつ戻りつしているが、もっとシンプルにしてもよいかもと感じている。料理は好きな方だけど、毎日主菜を作らなきゃという強迫観念みたいなものがまだ完全には捨て切れていない。
読了日:11月05日 著者:土井 善晴
夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)の感想
町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」が良かったので、デビュー作も読んでみた。こちらの方が個人的には好みかも知れない。生きることに息苦しさを覚える人達を描いた連作短編集。いずれの短編も粒ぞろいだが、「波間に浮かぶイエロー」は沙世、芙美、環の3人がそれぞれ事情を抱えていて、その人間関係の描き方と意外性のある展開が秀逸。「海になる」は中学教師で真面目な夫がDVに陥っていく様子が真に迫っていて恐ろしい。「海になる」という章題の意味がわかったとき、よくこんな表現を思いつくなあ、と唸った。
読了日:11月08日 著者:町田 そのこ
白崎裕子の必要最小限レシピ ――料理は身軽にの感想
「必要最小限レシピ」というタイトルだし、まさか最後まで塩だけの味つけか?と思ったら違って安心した。単にレシピを並べるのではなく、なぜこの調理をするのか、といったコツを教えてくれる料理本が好きです。本書も、煮くずさないときは先に、煮くずすときは後から塩を入れる等々、知っておくと料理の腕が格段に上がりそうな知恵が満載。ぽん酢やコチュジャンなど市販品を買っていたような調味料も、基本調味料の組合せで再現できる。せいろは使ってみたいけど保管が大変そうだ。まあ、蒸しならヘルシオ・ウォーターオーブンを使えばよいか?
読了日:11月10日 著者:白崎 裕子
新訳 成功の心理学 人生の勝者に生まれ変わる10の方法の感想
(これは、24時間以内に再読するやつだ。)内容としては目新しいことは書いていない。しかしそれだけ、自己啓発書として本質的なことが書かれているということだろう。成功者とか人生の勝者と書いているけれど、実利主義者ではなく、ただ自分の持っている能力を、自分なりにとことん追求する人のこと。そのためにはざっくりいって、肯定的な自己イメージを持ち、明確な目標設定をすること。さっそく読み返してみよう。
読了日:11月13日 著者:デニス・ウェイトリー
地球星人 (新潮文庫)の感想
村田沙耶香さんの小説は「コンビニ人間」に続いて読むのは2冊目。前作も性愛や労働という人間社会のあり方を無機質な視点で描いていて強烈な印象だったが、本作はそれをさらに昇華させて宇宙人視点から眺めたような。主人公・奈月の周りの人物たちの異常な行動が淡々と描かれていて、それがかえって気持ち悪さを増幅している。終盤は急ぎ足になったように思えるし、何じゃこれ?となってしまったが…。怪作なのは間違いない。
読了日:11月14日 著者:村田 沙耶香
その悩み、哲学者がすでに答えを出していますの感想
千田琢哉さんの推薦本から。歴史上の著名な哲学者達が、現代人の我々の直面する悩みに対する答えをすでに出してくれている。実際に回答になっているかは疑問な点もあるけれど…。少なくとも、人間の悩みというのは古代から現代までそれほど変わっていないこと、偉人達であっても同じようなことで悩み苦しんできたのだと知ると、自分だけがダメなわけじゃないのだと気が楽になる。
読了日:11月18日 著者:小林 昌平
ミニマリスト式超人生戦略術: 敏感な人が会社を辞めてラクに生きていく方法の感想
なにおれさんの「ミニマリスト式」シリーズの10作目。副題にもあるとおり、敏感な人、HSPの傾向がある人に焦点をあてて、会社勤めに生きづらさを感じている人が会社をやめても長い人生を生きていけるような人生戦略の立て方について紹介している。理想の暮らしの言語化、それに必要なお金の明確化、お金に頼らず自力でできることを増やす、最低限必要なお金を好きなことで稼ぐ、現実的なリスクヘッジを用意するの5ステップ。シリーズの集大成ということもあってか、著者の思いがこもっていて、読みながら妙にグッときた。
読了日:11月22日 著者:なにおれ
反哲学入門 (新潮文庫)の感想
【再読】千田琢哉さんのお薦め本から。初読のときには理解が甘かったんだなと痛感。プラトン以降の欧州における哲学と、ニーチェがそれを断ち切って以降の哲学はまるで別物だという。昔の哲学者が使っている言葉の語義を遡って、どのような意味で使われていたかまで考えるんだな。哲学や形而上学という日本語の意味の分からなさはある意味分からなくて当然だったとか、デカルトからカントにいたる間に「主観(サブジェクト)」と「客観(オブジェクト)」が互いに意味を逆転したなど、目から鱗だった。
読了日:11月24日 著者:木田 元
三匹のおっさん (講談社文庫)
読了日:11月29日 著者:有川 浩
読書メーター