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2020
先週の日曜日、新進のビスポークシューズメーカーであるSiroeno Yosui(シロエノヨウスイ)に行ってきた。
シロエノヨウスイは片岡謙さん(@kenkataoka_sy)と高井俊秀さん(@toshihide_sy)の2人で昨年秋に立ち上げたばかりのビスポーク靴ブランド。
東京・西日暮里に工房を構えている。
1年ほど前に靴磨きのイベントで片岡さんと知り合い、その後SNSでつながって彼が靴を作っていることを知り、興味を持っていた。
実はつい3週間ほど前にも工房を訪ねたばかり。
その際に、前から作ってみたいと思っていた鹿革のスエードについて相談していた。
普通の牛革の床面を使ったスエードよりも雨に強いという情報を目にして以来、スエードの靴を持つなら鹿革で、という思いがあった。
いくつかオーダー靴をやっている工房などで鹿革スエードについて相談してみたが、やはりすぐに手に入るものではないらしいということで、ダメ元で相談してみた。
革を仕入れているところに当たってみますと言ってくださったので、手に入るようならぜひ見せてもらいたいとお願いした。
それからほどなく、片岡さんから鹿革スエードのサンプルが手に入ったと連絡があった。
想像していた以上に早く連絡が来たことに驚いたが、実物が拝めるのは願ってもいない話。再び工房にお邪魔することにした。
今回はTwitterで相互フォローして何度かオフでもお会いしたことのある、べるさん(@bel729)と二人で伺った。
これが今回サンプルで入手できたという鹿革のスエード。
色はオレンジ色と靴にするにはやや鮮やかすぎるが、とても綺麗な発色。
牛革のスエードとはどことなく違う。毛羽立ち具合というか、毛足の長さが違うからだろうか。
手触りはとても柔らかい。
革の色は指定のサンプルに近い色味に、タンナーさんに染めてもらえるとのこと。
色々迷ったけれど、写真のスムースレザーのサンプルの色味のブラウンでお願いした。
その場で片岡さんに採寸をしてもらった。
裸足で採寸されるのは初めて。
足の輪郭を描き、各所の寸法や高さを計測していく。
親指のつけ根や小指のつけ根の高さを定規で計測したり。
カカトやくるぶしのあたりにタコがあったりして痛みやすいことを伝え、その付近も計測される。
今回の注文は、ホールカット(一枚革でアッパーを構成するデザイン)にした。
実は数日前にTwitterでスエードのホールカットで靴を注文していた方と会話していて、鹿革スエードで、継ぎ目のほとんどないホールカットなら最強じゃない?と妄想したのが念頭にあった。
エドワードグリーンのドーヴァーみたいなUチップや、チャッカブーツ、外羽根式プレーントウなどもアイデアとしてはあったが、せっかくビスポークするのでまだ持っていないデザインにしたいという思いもあり、ホールカットに決めた。
その他の仕様としては、ヒールに継ぎ目がこない、インサイドシーム。
ヒールがテーパーしつつ曲線を描く形状のCurven Heel(カーヴン・ヒール)。
ベヴェルドウェストにフィドルバック。
ソールは雨に強いアッパーに合わせてダイナイトにしたいところだったが、ダイナイトだと出し縫いが機械縫いになるとのことだったので、ハーフラバーとラバーヒールにした。
気になるお値段は、ホームページに記載のとおり19万1千円(税込)。
決して安い買い物ではないが、木型から作成し仮縫いつきのビスポーク靴としては安い価格帯だろう。
決済方法はクレジットカードと銀行振込に対応しているとのこと。
納期は、現状約6か月。仮縫いを約3か月後に予定していますとのことだった。
以前から欲しいと思いつつ、素材が素材だけに手に入ります、作れますと回答してくれる工房が見つからなかった中、こうしてシロエノヨウスイで鹿革スエードの靴を注文することができて感謝しています。
まだ実績が少ないブランドだけに実をいうと心配する声もあったのだけど、新しいことにチャレンジしてくれる意気込み、相談してすぐに行動を起こしてくれるスピード感はありがたかった。
何より、1度目の工房訪問で見せてもらったサンプルがとても美しかった。この人達にお願いしたいと思ったんですね。
まずは、仮縫いを楽しみに待つことにします。