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2022

2022年3月の読書まとめ

3月はまずまず読めた

3月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4920
ナイス数:836

3月も終わって新年度になりました。そして早くも4月が終わろうとしていますが(苦笑)、3月分の読書まとめです。

さて、3月は数か月ぶりに10冊超えでした。内容も興味深い本が多く、充実した読書ができました。

その中から特に面白かった本をいくつか取り上げます。

魂の昭和史(小学館文庫)

  • 題名: 魂の昭和史
  • 著者: 福田和也
  • 出版社: 小学館
  • 刊行日: 2002/08/01
  • ページ数: 343ページ
  • ISBN-10: 409402896X
  • ISBN-13: 978-4094028966

千田琢哉さんの著書で紹介されていた1冊。

歴史というと堅苦しくて、いつ何が起こったかを暗記するだけの無味乾燥な科目という学生時代のイメージが強いが、この本ではやさしく読者に語りかけるような文体で、「歴史のもっとも大事なことは共感ということ」と言い切っている。

今の時代に生きている自分たちは昭和の日本人をなぜ愚かにも負けるとわかっている戦争に突き進んでいったのかといった視点で見がちだが、安定した国民の暮らしが数百年続いた江戸時代を経て、西欧諸国に軍事をちらつかせて開国を迫られ、そこから植民地支配を受けないために必死で国力を蓄え、軍事力を高め、西欧列強に追いつこうと日本が努力してきた経緯を踏まえて、自分たちがあの時代に生きていたとして、戦争をしないという選択肢があったのかどうか、考えさせられた。

バフェットのマネーマインド

  • バフェットのマネーマインド 投資の神様はいかにして誕生したか
  • 著者: ロバート・G・ハグストローム
  • 訳者: 小野一郎
  • 出版社: ダイヤモンド社
  • 刊行日: 2022/01/11
  • ページ数: 364
  • ISBN-10: 447811370X
  • ISBN-13: 978-4478113707

ベストセラー「株で富を築く バフェットの法則」の著者であり、長年のバフェット・ウォッチャーであり、自身も投資ファンドのポートフォリオ・マネージャーであるロバート・ハグストローム氏による最新作。

バフェットが株主総会での質疑応答の中でぽつりと口にした「マネーマインド」という言葉をキーワードに、バフェットが独特の投資哲学を築き上げた原点からバリュー投資の進化、ビジネス視点での投資などについて、著者の分析を述べている。

興味深かったのは、バフェットが幼い頃に出会った一冊の本「1000ドルを手に入れる1000の方法」や、あまり他のバフェット本では触れられることがなかった父・ハワードや恩師ベンジャミン・グレアムがバフェットの思想面に与えた影響について。

特にグレアムが奉じていたストア哲学とのつながりは、個人的にも深掘りしてみたいと感じた。

またバリュー投資の進化の章では、企業の有形資産価値に着目したグレアムによる古典的なバリュー投資の手法から、事業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値(いわゆるDCF法=ディスカウント・キャッシュフロー法)に着目した投資へと進化していく流れ、さらにはバリュー投資は20世紀末から勃興したインターネット関連の高成長企業にも適用できると延べ、その実例として著名なバリュー投資家であるビル・ミラーを紹介している。

バフェット率いるバークシャー・ハザウェイも近年ハイテク株の代表格であるアップルやアマゾン株を購入している。

硬直した手法に固執するのではなく、価格ではなく価値に着目するという本質はそのままに、柔軟に投資手法を更新していける柔軟性はマネーマインドの重要な特質のひとつなのだろう。

手放す練習

  • 題名: 手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択
  • 著者: ミニマリストしぶ
  • 出版社: KADOKAWA
  • 刊行日: 2022/03/10
  • ページ数: 264ページ
  • ISBN-10: 4046046848
  • ISBN-13: 978-4046046840

最後に紹介するのは、ミニマリストしぶの最新作。

前作「手ぶらで生きる。」に続くしぶ氏の2作目だが、本作ではしぶ氏自身のミニマリスト生活を語るというよりは、なぜミニマリストの需要が高まったのか、モノを手放すことによるメリット、どうやったらモノを手放すことができるのか、といった点に論点が置かれている。

ミニマリストとは単にモノを極限まで減らす人、という近年の日本でのイメージを払拭するような美的センスやサステナビリティの観点からの考察もあり、思想面でのブラッシュアップを感じた1冊。

余談

余談ですが、今年度は職場の部署異動の対象となり、4年ぶりに現場仕事に戻ることになりました。

出張機会(すなわち移動時間)が増えるので、昨年までよりは読書もできるかなと期待しています。

2022年3月に読んだ本一覧

企業価値評価 第7版[上] バリュエーションの理論と実践企業価値評価 第7版[上] バリュエーションの理論と実践感想
5年ぶりの最新・第7版の翻訳が出た。さすがに前の第6版を読んだ直後なので読んだときの新鮮さには欠けたが、内容は上巻だけでもずいぶん刷新されていた。長く使われてきた用語が変更されたり(例: 「NOPLAT」がより人口に膾炙した「NOPAT」になるなど)、架空の成長企業を例に企業の価値創造と評価の要点を初学者向けに解説する第2章「ファイナンスの要点」、第6章「ESG及びデジタル施策の評価」などが追加されている。歴史的な低金利水準が続いている近年、ただでさえ難しい資本コストの推定はより悩ましい問題のようだ。
読了日:03月03日 著者:マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,マーク・フーカート,デイビット・ウェッセルズ
魂の昭和史(小学館文庫)魂の昭和史(小学館文庫)感想
冒頭の「魂の震えとしての歴史」でまずジンときた。自分の国の歴史と今を生きる個人とは無関係だと思っていても、底には共通するパターンがある。昭和という時代の日本人がどういう流れの中で何を考えて進んでいったのかをわかりやすい言葉で語っている。昔も今も、人には気高さと愚劣さとが同居しているもの。過去の日本人の失敗を今のものの見方で裁くのは簡単だが、自分がその時代にいたら果たしてどう行動していたか、を考えることは今の時代をどう生きていくかにつながるのかも知れない。
読了日:03月04日 著者:福田 和也
インフレ不可避の世界インフレ不可避の世界感想
さわかみファンドの澤上篤人さんの著書を読むのは久しぶり(約10年ぶりくらい?)。以前とは違い、急激なインフレによる経済へのダメージに警鐘を鳴らす。日・米ともに金融緩和政策を継続しており、異常な低金利水準が続いているが、それももう限界だろうと。株式も債券市場もバブル崩壊を免れない。と前半の経済予測は面白く読めたのだけど、では投資家としてどうすべきか?という点は相場崩壊の前に証券はすべて売っておけ、暴落後に真面目に本業を営む会社の株に長期投資せよ…といつもの澤上節を述べるだけでちょっと物足りなかった。
読了日:03月05日 著者:澤上 篤人
バフェットのマネーマインド 投資の神様はいかにして誕生したかバフェットのマネーマインド 投資の神様はいかにして誕生したか感想
ロバート・G・ハグストロームの「バフェットの法則」は以前読んだなと思い、久しぶりの新刊を見かけて手にとったらとても良本だった。バフェット氏がチラッと口にした「マネーマインド」という言葉をキーワードに、バフェットの投資哲学の成り立ちや影響を受けた人物(ストア哲学など本物の哲学者も含む!)の紹介、バリュー投資の進化やビジネス視点の投資について語る。特に「バリュー投資の進化」は現代のファイナンス理論も織り交ぜつつテック株へのバリュー投資の適用事例も挙げていて興味深い。
読了日:03月06日 著者:ロバート・G・ハグストローム
永守流 経営とお金の原則永守流 経営とお金の原則感想
永守さんが優秀な経営者というのは存じ上げていたが、著書は初めて読んだ。売上よりも利益、利益よりもキャッシュというのはよく言われるけれど、その経営感覚を理論からではなく現場で幾度も困難にぶつかりながら培ってきただけに説得力がある。銀行とのつきあい方や株主総会に帯する考え方、そして失敗するケースがほとんどと言われるM&A(企業買収)を通算60件以上行い、すべて成功させてきた秘訣など、とても勉強になった。
読了日:03月11日 著者:永守 重信
地に足をつけて生きろ! 加速文化の重圧に対抗する7つの方法地に足をつけて生きろ! 加速文化の重圧に対抗する7つの方法感想
日本語版への著者の寄せ書きに「日本の人たちがデンマーク人のようにたくさんの自己啓発書を読んでいるのかどうか知りません。」とあるが、日本でも一定の人気があるジャンルだと思いますよ!とはいえ、著者がこうして反自己啓発書を書こうと思うほどに日本でも本書のいう「加速文化」が蔓延っているかというとやや疑問だけど。本書の主張には肯ける点が多く、人生のネガティブにフォーカスしろ、とか、小説を読め、という意見には勇気づけられた。
読了日:03月17日 著者:スヴェン・ブリンクマン
手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択感想
ミニマリストしぶ氏の久しぶりの新刊。モノを手放すことで得られる心理的・経済的メリットについて語る一方で、最近注目されているデジタル・デトックスについても自らの赤裸々な体験を交えて触れている。余白をつくることの重要性。モノを手放すときの基本方針として「手放す前提で買っていないモノは、全部捨て」でいいというのは目からウロコだった。なるほど変に売れるかもと色気を出すよりもサッサとゴミとして捨てる方が早いしエコかもしれないな。
読了日:03月19日 著者:ミニマリストしぶ
企業価値評価 第7版[下] バリュエーションの理論と実践企業価値評価 第7版[下] バリュエーションの理論と実践感想
下巻もようやく読了。退職給付債務が第7版から個別に章立てされて詳しく解説されているが、この辺りはやはり難解。「キャピタルライトな事業の価値評価」も個別の章立てとなり、研究開発費を資産計上することで見える真のエコノミクスの解釈の仕方が興味深かった。その他、ハイネケンのケーススタディが削られたり、新興国市場の企業価値評価でも実例が削られたりと、ちょこちょこ変わっている印象。
読了日:03月19日 著者:マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,マーク・フーカート,デイビット・ウェッセルズ
おいしいの秘密 オルランドの家で作れるイタリア料理おいしいの秘密 オルランドの家で作れるイタリア料理感想
オルランドというイタリア料理店は知らなかったけれど、このレシピ本は書店でパラパラめくってビビッときたので購入。材料の数も手順もシンプルだけど、とても美味しそう。小串シェフ曰く、ほんのちょっとした彼なりのポイントがとても大切なのだそうだ。特に前菜のレシピが豊富なので、色々作ってみたい。調味料は塩やオリーブオイルは複数種類を使い分けたり、ケッパーやアンチョビの塩漬けがちょいちょい登場するので買える店を探さないとな。またはじめてきいた調味料としてコラトゥーラ(魚醤の一種)があった。これも通販で買ってみよう。
読了日:03月20日 著者:小串 貴昌
「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる ふるさと村のからだを整える「食養術」「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる ふるさと村のからだを整える「食養術」
読了日:03月22日 著者:秋山 龍三,草野かおる
証券分析 【1934年版第1版】 (ウィザードブックシリーズ 44)証券分析 【1934年版第1版】 (ウィザードブックシリーズ 44)
読了日:03月27日 著者:ベンジャミン・グレアム,デビッド・L・ドッド
100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
読了日:03月29日 著者:ジョージ・フリードマン
今いる場所で突き抜けろ! ――強みに気づいて自由に働く4つのルール今いる場所で突き抜けろ! ――強みに気づいて自由に働く4つのルール
読了日:03月31日 著者:カル・ニューポート

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