2017年4月の読書まとめ

3月はとうとう･･･。

4月の読書メーター
読んだ本の数：61
読んだページ数：19341
ナイス数：373

3月はついに読書まとめのログを取り忘れるという失敗までやらかしてしまい、読書まとめ記事が作成できていない。

読書メーターの読んだ本リストから3月中に読んだ本をピックアップして手動でごりごりまとめればできなくはないが、手間がかかってしまうので先に4月の分だけでもまとめておくことにする。

スノーボール：ウォーレン・バフェット伝

4月に読んだ本の中ではなんといってもウォーレン・バフェット氏の公認伝記である「スノーボール・ウォーレン・バフェット伝」が良かった。

この「スノーボール(原題:"The Snowball: Warren Buffett and the business of life")」はお気づきの方もいるかも知れないが、このブログのタイトルにも使わせてもらっている。なぜタイトルがスノーボール（雪だるま）なのかは本書を読めばすぐにわかるのだけど、バフェット氏の人生を象徴する単語になっているのだ。

世界一の投資家として、近年は日本の個人投資家にも人気が高く神格化されがちなバフェット氏だが、この本では成功した後の姿だけでなく、家族（主に母親）との人間関係をうまく気づけなかったり、コンプレックスを抱えたまま大人になった彼の赤裸々な姿が描写されている。

また個人的に興味深かったのは、若かりし頃の投資パートナーシップや初期のバークシャー・ハザウェイで彼が作り上げた資本増殖の仕組みだ。

パートナーシップの仕組みとして、儲からなかった時は手数料をしないが、利益が4%を超えた分についてはその1/4を運用報酬として徴収する。その運用報酬はパートナーシップにバフェット自身の持ち分として組み入れられ、複利で運用されていく。これがどれだけすごいかというと、パートナーシップ開始ではバフェットはわずか100ドルしか出資しなかったにもかかわらず、13年間のパートナーシップ運営後には最大の持ち分を有していたというから驚きだ。これだけ聞くと現代のヘッジファンドマネージャーに似た仕組みではあるが、利益が出なかったり損失を出した場合には手数料は徴収されないという点で利益相反を回避していた上、結果的に出資者に手数料徴収後でも市場平均を大きく上回る運用成績を与えていたので文句も出なかったというのがすごい。

またバークシャー・ハザウェイ初期には、潤沢な投資可能な資金（フロート）を有している保険ビジネスに目をつけ、衰退した繊維事業しかなかったバークシャーを通じて保険会社を買収し根本的に作り変えていった点が注目に値する。バフェットというと株式投資の銘柄選択にばかり注目が集まるが、それ以上に機動的に投資できる資金を恒常的に生み出せるビジネスモデルを構築した点が優れていると思うのだ。バークシャー本体は(参加の子会社の一部を除き）ほとんど借り入れに頼っておらず、保険ビジネスから生まれるフロート（手持ち資金）や子会社からのキャッシュフロー、投資先からの配当収入という複数の内部資金源を有している。だから先のサブプライムローンに端を発する金融危機の際にも大手金融機関が軒並み経営危機に陥る中、暴利とも思える条件で優先株式などに投資ができたわけだ。

バフェットの作り上げた投資スキームは当然個人投資家はおろか、他の企業でおいそれとコピーできるようなものではない。しかしバフェットが何を買ったとか売ったとか騒ぐくらいなら、自分の少ない給料から少額でも証券口座に入れて投資資金を確保するとか、次の大暴落相場が起こったときにどのように動くかシミュレーションしておくなりした方がよいと思うのだ。